あらすじ
FOXニュースの元人気キャスター、グレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が、テレビ界の帝王として君臨していたCEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)を提訴した。そのスキャンダルなニュースに、メディア界に激震が走る。騒然とするFOXニュース社内。看板番組を背負う売れっ子キャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、上り詰めるまでの自身の過程を振り返り心中穏やかではなかった。一方、メインキャスターの座を狙う貪欲な若手のケイラ(マーゴット・ロビー)は、ロジャーと対面する機会を得ていた――。
製作年: 2019年
上映日: 2020年02月21日
製作国: アメリカ、カナダ
上映時間: 108分
映画の概要と提起する問題点
映画の概要
映画「スキャンダル」は、2016年にアメリカのフォックスニュースで起きたセクハラ事件を題材にした社会派ドラマです。フォックスニュースの CEO であるロジャー・エールズが女性キャスターに対して行ったセクハラ行為をドキュメンタリー形式で描いています。
問題提起
この映画を見て、以下の点に問題提起がされていると感じました。
テレビ局ならではの競争社会と外見や評価への言及
- テレビ局の問題として取材対象者との関係の問題が出てきます。特に選挙期間中で、大統領候補も自分の支持を高めるために、番組出演者に激しい口調やSNSでの攻撃があります。
- また、テレビ局内では、メインのMCを獲得したい、そして番組の視聴率(占拠率)を高くするための激しい競争が描かれます。
- そして、視聴者に見られる媒体として、容姿、服装、体型など、外見について男性が女性に対して言及する場面が数多く描かれています。
男性による間接的な要求と責任転嫁
男性側が密室で女性に直接的な要求をせず、間接的に要求する姿勢が描かれています。女性が要求に応じなかった場合、男性は「そんなつもりで言ったのではない」と否定し、後に訴訟になった際には「自分の言ったことを女性が勝手に解釈した」と主張するずるさも描かれています。
女性が抱える問題
女性は競争社会で生きており、バックグラウンド、家族、就職までの苦労、過去の実績、将来への不安を抱えています。
- 競争社会の中で生き残るために、男性からの要求を断れない状況
- 周囲に相談しづらい状況
- 女性同士の競争により、被害を相談できない状況
- 自分よりも立場の上の男性に対して、断ることができない状況
これらの要因が、被害の相談を遅らせ、問題の発覚を遅らせる原因となっているという問題提起がなされていると感じました。
映画の印象的な場面と演技
この映画で特に素晴らしいと思ったのは、ジョン・リスゴーの演技と主演の3人の女性の演技です。
印象的なエレベーターのシーン
ニコール・キッドマン(グレッチェン・カールソン役)、シャーリーズ・セロン(メーガン・ケリー役)、マーゴット・ロビー(ケイラ・ポスピシル役)と3人が無言でエレベーターに乗り合わせる場面は、映画の中でも象徴的なシーンです。セリフがほとんどないにもかかわらず、3人の間に漂う緊張感、そしてそれぞれの葛藤が表情や仕草だけで伝わってきます。エレベーターのシーンではほとんど言葉を交わさないのに、三人の間でいろんなやり取りが行なわれ、緊張感が非常に高いシーンで印象に残りました。
俳優の演技
- ジョン・リスゴーが演じるロジャーエールズは、それまでの経歴や実績をあげてきたと言う自負と自信に満ち溢れ、周りのや時代の変化に気づかない部分が強く印象に残りました。
- ニコール・キッドマン演じるグレッチェン・カールソンは、告発の中心人物として、大手放送局に対して毅然とした態度を貫く姿が印象的です。
- シャーリーズ・セロンが演じるメーガン・ケリーは、先に述べたトランプとのやり取りなど冷静でありながらも内に秘めた強さがあります。ロジャーのおかげで自分のキャリアと現在の地位が築けたと思っている面と、セクハラの告発者だと思われるのは絶対に避けたいと考える葛藤がある場面が特に印象に残ります。
- 特にマーゴット・ロビーが演じるケイラ・ポスピシルという架空のキャラクターが印象的でした。このキャラクターは、実際の被害者たちの経験を集約した架空の人物です。彼女の演技は非常に繊細で、ロジャー・エールズとの二人きりのシーンでは、ケイラが恐怖と屈辱を感じる様子が鮮明に表現されていました。手が震えたり、体が硬直したり、涙を流す様子は非常に強く心に残りました。


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