アニメのBGMが、なぜ他の番組（主にバラエティやニュース番組、ドキュメンタリーなど）で流れるのかという質問が寄せられ、それに角川の伊藤敦氏が答えていた。
「喰霊-零-」超自然災害ラジオ対策室 第15回より
伊藤敦（喰霊-零- プロデューサー、角川）
白石稔（声優）
伊藤
「音楽出版社というところが著作権を管理してるんですけれども、そこが営業をかけてですね、テレビ局に売り込むこともありますし、逆にテレビ局側が、そういったBGMを探しているということがあるんですよ」
白石
「えーえーえー」
伊藤
「ニュース番組ですとか、通常のテレビ番組で、BGMを新たに作り起こすとなると、相当時間とお金がかかるですね」
白石
「確かにそうですね」
伊藤
「そういった番組で使用されるBGMにですね、非常にアニメーションのBGMが適しているんですよ。長くもなく短過ぎもなく」
白石
「はい」
伊藤
「長さ的にはちょうどいい塩梅ですし」
白石
「うんうん」
伊藤
「またその著作権的にも非常に使いやすいというところがあります」
白石
「はい」
伊藤
「またその当然放送で使う場合の処理のリーズナブルというか使いやすさ、そういう意味での金銭的な使いやすさもあったりして、非常に放送局やメディア媒体側使いやすいというところは確かにあります」
白石
「なるほど」
伊藤
「ただあの、どの楽曲もじゃああの自由に使っているかというと、そこはちょっと偏りはあって、どの放送局さんもお付き合いがある音楽出版社さん、そういった音楽出版社さんが管理している楽曲を優先的に使う傾向がありますね」
白石
「おーなるほど」
伊藤
「例えば、私がプロデュースした作品で『フルメタル・パニック！』という作品があるんですが、あれは音楽を作ったのは、ポニー・キャニオンさん。実際、著作権を管理さているのは、ピーシーミュージックさんていう著作管理の音楽出版社があるんですけども」
白石
「はい」
伊藤
「ポニーキャニオンさんは、皆さんご存知の通りフジサンケイグループさんですから、著作権を管理しているピーシーミュージックさんもそちらのグループの会社」
白石
「あーなるほど、ということはフジテレビ・・・」
伊藤
「系でよく使うことが多いですね。」
白石
「なるほど」
伊藤
「ですからよくテレビ東京ミュージックさんで管理している著作権関係は、テレビ東京さんでかかったりとか、そういったつながりは濃くありますね」
白石
「あーなるほど」
伊藤
「通常は、そういった音楽出版社さんを経由して、放送局で使用されるパターンが非常に高いと」
白石
「ということは、例えば音楽を音響ディレクターさんがこの曲で行こうと出しているということは、スタッフさんもそのアニメを知っててかもしれないし、逆に『この音楽イイね、じゃあこれにしようか』、全然知らないアニメのサントラと知らないまま使っているということも」
伊藤
「どちらもあると思いますね、非常に詳しい方は、あえて選んで、素材を集めてくるでしょうし、僕が前テレビ局にいた時ですね、同じようなことをやっていて、ある番組で楽曲を何曲か使いたいのでそれを資料室というところがあるんですね、放送局に」
白石
「えーえーえー、はい」
伊藤
「そこいっていろんな資料をかき集めてくるんですけど。かき集めるためにはですね、プロデューサーが出す楽曲リストというのがあるんですよ」
白石
「えーえーえー」
伊藤
「その楽曲リストにプロデューサーがいろいろな欲しい楽曲を書き込んでるんですね」
白石
「はい」
伊藤
「ガーーと書き込んでて。そのリストを元に資料室へ行っていろんなCDをこうチョイスして、でその資料を持ってプロデューサーのところをいって、番組で使われると」
白石
「はい」
伊藤
「使われない楽曲もあるんですよ、もちろん。使われたものがチェックされているので、チェックされている楽曲を元に音楽出版社さんのもとにいわゆるその・・・」
白石
「使わせてくださいという・・・」
伊藤
「使いましたよという形で報告をすると」
白石
「はい」
伊藤
「追って、出版社を経由してJASRACさんから最終的に請求があるんですけど。そういった形でやっていましたので、確かにその番組にあった楽曲としてのセレクトは番組の担当者がリストを出してやってます」
白石
「なるほど。担当者は、本当に好きな人もいるかもしれない」
伊藤
「好きな人もいますし、ただ単純にこんな様な雰囲気なものが欲しいのでということでリストを出してきて、それを集めてこいという場合もあります」
白石
「なるほど、わかりました。ありがとうございます」
