2010年4月10日に更新された、「沢城みゆきと12の夜」第9回で、アフレコリスナーから寄せられた「一つのマイクで何人もの方が録音されていること(アフレコ)」について答えていた。
はたしょうニ(サウンドチーム・ドンファン所属 音響監督・ミキサー 以下、はた)
沢城みゆき(声優 以下、沢城)
はた
「録音の仕方としては沢城さん日々、仕事現場として経験されているスタジオの中にマイクがスタジオの広さによってね、3本だったり、4本だったりあるなかで、しかも出演者は20人くらい」
沢城
「普通ですよね、それ」
はた
「そう考えると単純に1本のマイクの中に、5人が群がるみたいなのが単純な話。結局はそれを入れ替わり立ちかわり、出番のある人ない人で、出たり引っ込んだりしてね、やってるっていうのが、録音の仕方で。それってやっぱり録音技師のミキサーの立場から考えるとすごいリスクは大きいのね。」
沢城
「へぇー」
はた
「だってそのね男の人と女の人の声の低い高い、単純な話ね、違いもあれば、身長の違いもあれば、声量の違いもあるわけですね。」
沢城
「そうですね」
はた
「声のちっちゃい人おっきい人いろいろいる、それが1つの空間の中に入って、それで据え置かれたマイクに入っていかなければならないっていうと、技術者の立場から考えると本来は20人いたら20本マイクを立てて、その人のね身長とかその人の声が1番取りやすいマイクアレンジっていうんだけど距離を測ったりとか、それこそマイクの機種ね種類もその人に合ったものを選んであげて全部20人いたら20通りちゃんとチョイスをして」
沢城
「よく変えられますわたしマイク、ふふふ(笑)はい(笑)」
はた
「それをね、やって録音するのが、こっち側の立場で考えると、いい音で録るという考え方をすると、そっち側がベストなのね。海外とかのアニメーションとかの収録の仕方を見るとひとりひとり別々に録るでしょ」
沢城
「そうですね」
はた
「あれはだからこっち側のスキーム的なの立場で考えると、いい音で録ろうと思うと、そういう録り方って実は正しいんだけど、でも日本のアニメーションの良さっていうのはそこに一気に入ってみんなでそれこそ舞台みたいにお芝居をキャッチボールするという、その空気っていうのが、その空気感っていうのは何物にも代え難いというのがあるじゃないですか」
沢城
「うん、そう思いますね」
さらに、次のように語っていた。
はた
「録り方としては、複数の人が数限られたマイクで入ると録りにくいし、録音とするとそういう意味ではもしかしたら80点ぐらいで模索していかないというリスクがあるんだけれど、それ以上にお芝居がね、やっぱり良い芝居を録音するっていうことと、だからあのミックスの時に後処理っていうのも結構ね、いろいろ加工、今の現代機械でできなくもないんだけど、やっちゃうよりかは、録った時の質感、それは何事にも代え難いものがあって、あとから小さい声を音量上げて大きくしたりとか、大きすぎた音下げたりとかは、当然やるし、あとからもできるんだけど、でもねやっぱりそのまんまで録っちゃたりとかすると、現場のその音圧とかいうんだけれど、音量とは関係なくね、なんていうの耳に入るよりかは胸に…」
沢城
「横?横の線?横の目盛り?上が音量で横にフェーダー的ね、あるじゃないですか?横に出るやつですか?」
はた
「そういうわけではないんだけど結局、ここにこう、胸に届いてくる音というかやっぱりそれって言うのは、後処理ではね、表現できなかったりすることがあるんで、アフレコで収録するっていうことには1番神経集中して、こっちももう本当に、本番っていう体制で臨んでて」
沢城
「へー」
はた
「やっててあとになって、もうちょっと踏み込んで録ってれば、もうちょっと何とかなってたのになというのをミックスのときに感じたりはするんで、困ることはありませんかって言われると、日本のアニメーションの録り方っていうのは、ミキサーにしてはリスクのある録り方なんだけど、中には海外式のがいいよとやるような人いるんだけど、僕なんかは音響監督なんかもやって、演出の立場もあれしているから、一緒に芝居をやる空気感のほうを優先しちゃうこともあるんで。」
沢城
「なるほど、なるほどなー」
と1本のマイクに複数人で収録することのメリットについて話していた。
※記事の内容や所属、会社名、情報等はラジオの公開や放送当時のものです。現在とは異なる可能性がありますので、ご了承ください。
沢城みゆき
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