「青春ブタ野郎」シリーズの魅力は、青春のジレンマを思春期症候群という現象を通して、様々な問題と向き合う点にあると思います。今回は、小説「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」の感想をまとめます。物語は、過去に娘の花楓のいじめがきっかけで心を病み、数年間入院していた母親が、復調の兆しを見せ、花楓に会いたいと願うところから始まります。妹の楓は母親に会う決心を固めて、咲太といっしょに実際に面会しました。
物語のあらすじと今回の思春期症候群
物語は、過去に娘の花楓のいじめがきっかけで心を病み、数年間入院していた母親が、復調の兆しを見せ、花楓に会いたいと願うところから始まります。妹の楓は母親に会う決心を固めて、咲太といっしょに実際に面会しました。
面会後、主人公の咲太にお腹の部分に傷ができて、学校ではテストの返却時に自分の名前だけ呼ばれず、テストが返却されない。教室内で叫んでも誰にも聞こえない状態になり、咲太の姿が誰からも見えなくなってしまうという、まるで第1巻で桜島麻衣が直面した思春期症候群と思われるものが発症します。
その後、海岸で桜島麻衣の子供時代の姿をした女の子(ランドセルガール)と会います。その女の子に手を引かれ別の世界に行きます。別の世界では母親との関係も良好で、家族と一緒に住んでいます。一つ変わった部分は咲太がスマートフォンを持っていたこと、そしてなぜか、学校に中学校時代には同級生で、高校は別の学校に進学していた赤城郁美がクラスメイトになっていました。家族みんなで一緒の家に住み、本来の世界ではいじめにあっていた妹の楓を放送室を占拠して守ったということになっていました。理想的な家族となっていた世界ですが、咲太はランドセルガールに会い、もとの世界に戻りたいと告げます。元の世界に戻ると、自分の姿が唯一見える桜島麻衣さんに、母親自身も精神的に苦しく辛い目に遭っていたのにもかかわらず、自分と妹だけで生活をすることで必死だったことで、母親のことを意識から切り離していて母親を見ないようにしていたことに気づいたと話しました。その後、母親と向き合い、これまでの苦労や母に対する思いを伝えたことで、自分の姿が周囲の人からも認識されるようになり、見えるように戻りました。
キャラクターたちの成長と深まる絆
楓の成長と母親との関係
まずは、楓の成長です。前作で進学先を決めた楓ですが、今作では母親が回復したことで、母と面会できるようになりました。母親と面会することに不安な気持ちを持っていました。その理由は、自分が問題を抱えたせいで、母親が精神的に不安になり入院をしたことです。そのせいで母親に嫌われているのではないかという不安を持っていました。咲太の後押しもあり、決心をして母親と会うことができました。
咲太の成長と母親への向き合い
2つ目の感想は、今回の作品では、思春期症候群が咲太自身に起きたのが特徴的でした。これまでは、周囲の人物が抱える問題を解決していくという役割で、それに振り回されたり忙しく、自分自身の問題と向き合うことができていませんでした。それは、今まで母親と深い部分での会話ができていなかったという点です。妹の問題が発生してからは、母親のことを頭から切り離して、自分の生活と妹の問題解決に注力せざるを得ませんでした。自分自身の生活が大変だったにもかかわらず、そうした問題を解決していく姿が印象的でした。両親と別々に暮らし、妹を守るために自立しなければならないという状況で、自分のことに必死で母親に向き合えていなかった咲太が、母親と向き合い言葉を伝え、思春期症候群が解決していく様子は感動的でした。
麻衣と咲太の揺るぎない絆
3つ目は今回の思春期症候群では、周りから見えなくなってしまった咲太を、麻衣が認識できたことです。この問題が発生する前に咲太と麻衣は婚姻届に名前だけを記入して、麻衣が「お守り」として持っていました。そのことが理由として麻衣だけが咲太を認識することができました。第1巻で周りから見えなくなってしまった桜島麻衣を咲太が救うというストーリーでしたが、今回は逆の展開になっている点も面白いと思いました。
残された謎と今後の展開
謎が残った部分があります。
ランドセルガールの正体と役割
今回、もう一つの世界の橋渡し役となったのが、タイトルにもある小学生時代の桜島麻衣の姿をした「ランドセルガール」です。どうしてもう一つの世界に行く役割が「ランドセルガール」だったのか、そしてなぜ、小学生時代の姿をしているのかがわかりませんでした。この謎が、今後のシリーズでどのように明かされるのか、気になるところです。
赤城郁美と霧島透子の存在
今後の気になる展開として、後のストーリーに物語の関わりそうな人物、赤城郁美と霧島透子の存在があります。
- 赤城郁美:中学時代の同級生でしたが、あまり目立たない存在でした。しかし、別の世界では咲太と同じ高校のクラスメイトになっています。これがどういうことを意味するのか、今後が気になります。
- 霧島透子:詳しくは描かれておらず、今後登場する人物と思われます。この人物が、今後の展開にどのように関わってくるのか非常に興味があります。
まとめ:シリーズのテーマと感動の余韻
アニメ映画『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』は、梓川咲太が自身の内面と向き合い、家族との絆を深めていく物語だと感じました。楓の成長、咲太と母親の関係性の変化、そして麻衣との揺るぎない愛が、観る者の心に深く刻まれるのではないでしょうか。残された謎や新たな登場人物の登場は、今後のシリーズ展開への期待を一層高める要素になると思います。この作品は、思春期の葛藤や家族の温かさに触れることができる、そんな一作です。


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