人と比較して辛い気持ちになる人の心理の原因と対処法

人の良いところと自分の悪いところを比べてストレスを感じることはありませんか?他人の長所を見て自分はダメな人間だと思い落ち込んでしまう・・・。これはどんな人でも経験があることですが、この感情をどうやって解消すればいいのか悩むところでしょう。他者への憧れや嫉妬は、自分を高めるための大切な刺激です。しかし、人と比べて落ち込んでしまう場合、物事の受け止め方に独特の癖があるのかもしれません。人と比べる心理の原因とその対処法をご紹介いたします。

人と比較する心理がはたらく理由

1. 人と比べられる環境下で育っているから

私たちは子どもの頃から、ある意味ずっと競争の世界に身を置いています。学校では勉強や運動の優劣、社会に出れば会社名や年収、昇進など、常に人と競い、評価を受けながら暮らしているのです。そんな環境の中では、常に人からの評価を気にし、それを自分を測るモノサシにしてしまいがちです。

2. 人と比べることで自分の位置を確認して優越感を得たい

周りの人からどう見られるか、世間から自分はどう評価されているかという自分の価値観を社会的な自分の立ち位置で決めようとする心理があります。人と比較することで相対的に相手より自分が上だという優越感を得たいという心理があります。

3. コンプレックス(劣等感)がある

自分には○○ができないとか○○に自信がないというコンプレックスが挙げられます。そうしたコンプレックス自分よりできていない人を見つけて、自分よりできていない人がいるから自分はまだ大丈夫だと安心感を得たいと考える心理があります。

4. みんな平等だと思いたい気持ちがある

4つ目は、身の周りの誰かにいいことがあったときに、他人をうらやましいと思う気持ちがあったり、自分は満たされていないことに不満に思ったり、自分はダメだと考えてしまうことがあります。これは、「あの人が幸せになったら次は自分も幸せになれるはず」「あの人ばかりに幸せが続くはずがない」など、まわりの友人、知人、他人が置かれている立場や幸せについて、特に身近な人とは自分と同じ、平等であってほしいと思う心理があるからです。

比べることが悪いことではない

人と比べることは必ずしも悪いことだとは言えません。人と比べることで自分が足りていないことを見つけたり、自分の得意分野を見つけて長所を伸ばすこともできます。また、お互いが得意なことを通じて助け合ったり、協力することもできるでしょう。人と比べて自分ができていないことを嘆いたり、自分はダメな人間だと考えて落ち込むことがないようにしましょう。

人と比べることで生じる問題とは

1. 自分の存在価値がなくなると精神的に不安定になりやすい

人と比べることで生じる問題の1つ目は、人と比べることでしか、自分の存在価値が見いだせなくなることです。もしそうなると、自分の価値判断の基準が他人次第となり、人と比べて自分は劣っているということやコンプレックスが見つかるとすぐに不安になったり相手を嫉妬したり、憎む気持ちが生まれてしまいます。また、進学や就職、転職といった出来事で周りの環境が変化すると、今までの当たり前や常識も変化してそれに対応することできないと、自分自身がわからなくなります。

2. 人間関係が悪くなりやすい

自慢話をするなど相手より自分が優れているということをアピールしたり、人に対して高圧的な態度で接するようになるとなかなか相手と良い関係を築くことはできません。また、絶対に負けたくないと競争心が悪い方にでると、人を妨害したり、人に失敗を喜ぶ気持ちが出てそれが態度に出ることもあるかもしれません。

以上のように人と比べて落ち込んだり、相手に高圧的な態度をとるようなことをしなければあまり問題は起こりません。

人と比べ悩まないようにするためにするための考え方

1. 完璧な人はいない

自分が他人より優れていると優越感に浸りたい気持ちがあるかもしれませんが、全てにおいて上回るということは不可能でしょう。すべてにおいて完璧な人はいないのです。また劣等感を抱えている場合も同じです。ある分野では劣っていることを気にする心理がありますが、その人に負けない分野もあるはずです。得意不得意、コンプレックスは誰にでもあるのが普通なのです。優劣ではなく、違っていると考えることも必要です。

2. みんな平等であるという前提を持たない

そもそも平等であることはありえないと考えましょう。そのことで自分は恵まれていない運が悪いと嘆かないことです。また、もしみんな平等であると信じたい気持ちがあっても、目に見えることだけで平等かそうでないか判断することはできないでしょう。表面的には幸せそうに見えても陰ではよくないことが起きていたり、苦労や努力を重ねたうえで獲得した幸せかもしれません。そうした部分はなかなか見ることができないため、みんな平等でありたいと思っても、表面的な部分だけで判断することはできないのです。その人のことをよく観察してみることも必要です。

3. 自分の価値判断・軸をもつ

優越感に依存している人は「○○より勝っているから、自分にはこんな価値がある」「○○だから自分は優れている」という、目に見えてわかる成果に固執しています。反対に劣等感に依存している人は「○○よりも、自分はなにもできない」「自分はこんな奴だから誰からも相手にされない」とあきらめの方向に自分の心を向け、「思うようにならない現実」の原因を劣等感から探しています。

比較することがやめられないのは、どちらの場合も「それ以外に自分を確立するものが」ないためです。確かな自分を自分が見いだせていないから、他人と自分を比べることで「自分」というものを認識しているのです。

自分の価値をしっかりと認識し、自分を素直に肯定できる心を持っていると「自分はこんな面をもっている、人と接する価値がある、好かれる価値がある」という前提で人と接することができます。

すると、自分を肯定しながらコミュニケーションができるため、自分自身に軸ができて、会話やコミュニケーションがすごく楽しくなります。そして、楽しく人と接することができれば、周りの人からも好かれやすくなり、良い人間関係を築いていくことができます。